MR技術を知っていますか?
MR(Mixed Reality)はさまざまな業種や業界で革新的な変化をもたらしているため、ビジネス界ではMR技術の活用が注目されています。
そのため、MR技術は未来のビジネスをリードするための有力なツールとなり得るのです。
本記事ではこのMR技術がビジネスにどのように活用されているのか、ご紹介していきます。
monoAI technologyではDX推進やデジタルツイン導入を検討しているお客様に対して、物流倉庫や建築現場での作業訓練VRやPR用のARコンテンツ制作を行っております。
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目次
|MRとは
MR(Mixed Reality)とは、現実世界にデジタル情報を重ね合わせる技術です。
VR(Virtual Reality)やAR(Augmented Reality)と似ていますが、MRは現実世界とデジタル世界を融合させるため、より自然で臨場感のある体験を実現できます。
MR技術は、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)やゴーグルなどのデバイスを使用して、現実世界に仮想のオブジェクトを重ね合わせたり、仮想世界に現実のオブジェクトを映し出したりすることで、現実世界と仮想世界を融合させることができます。
ゴーグルを装着することで、何も無い駐車場に実物大の車が出現したり、空っぽの部屋に家具が配置してあるように見えたりするのです。
|MRをビジネスに利用するメリット
拡張現実(MR)は、ビジネスのあらゆる場面で活用できる革新的な技術です。
MRをビジネスに取り入れることで、具体的に次のようなメリットが得られます。
- 生産効率を向上できる
- 人材育成や研修に役立つ
- コストを削減できる
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
生産効率を向上できる
MR技術は、生産現場での作業の効率と正確性を向上させるための革新的な技術です。
具体的には、作業者が特別なメガネやヘッドセットを着用し、現実の作業場にデジタル情報を表示することで、作業の支援やトレーニングが行えます。
これにより、作業者は作業内容をより正確に理解し、効率的に作業を進めることができます。
また、製品やプロセスの試行錯誤を立体映像で確認しながら情報を共有し、問題点などを見つけることも可能です。
これによって、作業の品質が向上し、無駄な手間やミス、認識のズレを減らすことができます。
MR技術は、作業者のスキル向上や業務効率化に貢献し、工場の生産性を向上させることが期待されています。
人材育成や研修に役立つ
MR技術は、人材育成や研修においても大きな役割を果たす革新的な技術です。
この技術は、現実の環境にデジタル情報を重ねることで、リアルなトレーニング体験を提供します。
具体的には、機器の操作などで作業手順や解説を実機に重ねて表示し、作業者がリアルな状況下でシミュレートしながら学ぶことができます。
これにより、実際の作業に対する理解が深まり、スキルの向上につながります。
さらに、仮想環境でのトレーニングは安全でリスクのない環境で行えるため、実際の作業場では難しいような複雑な操作や危険な状況にも挑戦できます。
これによって、効率的で安全なスキル獲得が促進されます。
MR技術は、現実世界と仮想世界を融合させることで、より効果的な人材育成や研修を実現し、スキルの向上を支援します。
コストを削減できる
MR技術で、物理的なリソースや場所に依存せずに様々な活動を行うことができます。
例えば、会議やトレーニングのために人々を一つの場所に集める必要がなくなり、出張や移動にかかる交通費や宿泊費を削減することができ、設備や機材の維持管理費用も低減されます。
これにより、オフィススペースの削減やリソースの最適化が可能になります。
他にもMR技術を活用することで仮想的な環境で試作品を作成することができます。
例えば、3Dモデリングソフトウェアを使用して仮想的な製品を作成し、MRデバイスを通じてそれをリアルな立体映像として見ることができます。
実際の材料や設備を使用せずに、デザインや機能の確認が可能です。
MR技術の活用によって、物理的な制約を超えて効率的な業務が可能となり、コストを削減できます。
|MRの活用事例【2024年6月現在】
MR技術を利用することで、生産効率の向上、人材育成や研修が効果的に行え、コストも削減できることがわかりました。
では実際にMR技術はどんな業界でどのように利用されているのでしょうか。
具体例を8つご紹介致します。
- NTTコノキュー:遠隔作業支援
- メドトロニック:看護師の器械出し習得支援
- 東武鉄道×日光金谷ホテル:館内ツアー
- インフォマティクス:建設業界へのDX支援
- 北海道電力:巡視点検アプリによるDX支援
- トヨタ:自転車整備における人材育成支援
- 長崎大学:遠隔医療への応用
- 大林組:建築現場での作業効率化
それぞれについて詳しくみていきましょう。
NTTコノキュー:遠隔作業支援
NTTコノキューは2023年3月に「NTT XR Real Support」という遠隔作業支援ソリューションの提供を開始しました。
このソリューションでは、映像伝送や音声通話、画像共有、メッセージ送信などの機能に加えて、MR技術を活用して現地映像に指し示した位置をスマートグラス上に表示する空間ポインティング機能も備えています。
これにより、作業指示の位置を確実に伝えることができます。
さらに、対応するスマートグラスでは手順書を表示し、視界を妨げずに情報支援する3Dフローも利用できます。
6人までの複数人通話やマニュアル作成、画像による証跡保存、ゲストの招待などの機能も装備されています。
遠隔支援者はWebブラウザを使用し、現地作業者はHoloLens、iPhone、iPadなどで利用できます。
メドトロニック:看護師の器械出し習得支援
看護師は手術室で「器械出し」業務を行うことがありますが、手術に使用される医療機器の複雑な組み立て方法や操作、手術の手順に合わせた的確な器械出しの方法を熟知し、素早く行う必要があります。
そのため、熟練看護師の目線の動きを学習できる「HoloMe(ホロミー)」が開発されました。
HoloMeは、HoloLens 2を活用して、熟練看護師の動きを現実の空間上に表示・録画することで、非熟練看護師のトレーニングツールとして活用されています。
非熟練看護師は録画データを視聴し、熟練看護師の映像を確認しながら効率よく学ぶことができるのです。
これにより、非熟練ながら確実な技術を習得し、手術室での業務をスムーズにこなすことが可能となります。
東武鉄道×日光金谷ホテル:館内ツアー
東武鉄道と金谷ホテル株式会社は、国の有形文化財である日光金谷ホテルのこれまでの館内案内ツアーを、株式会社GATARIが開発したMRプラットフォーム「Auris(オーリス)」を用いて、音声ガイドツアーを行いました。
Auris(オーリス)は、既存施設に手を加えることなく空間上に画像や音声データを記録する技術です。
利用者の位置、視線や動きに応じて専用デバイスから音声が流れる仕組みを利用することで、150年という歴史をもつ日光金谷ホテルの館内を巡りながら、まるで案内者が隣にいるかのような没入感を味わうことができます。
このツアーは、日光金谷ホテルの歴史や文化をより深く理解し、楽しむことができる新しい体験を提供するものとして、多くの観光客に好評を博しています。
インフォマティクス:建設業界へのDX支援
株式会社インフォマティクスと千代田測器株式会社は東京舗装工業株式会社の協力で、交差点改良工事において、MR技術を利用し屋外の全長220mの道路CIMモデル(道路情報モデリング)を原寸大で現地の風景に高精度に重ねて投影することに成功しました。
これまでも実際の現場に仮想のモデルや図面を投影していましたが、投影されるモデルが広範囲の場合、正しい位置に投影させることが難しく、ズレが問題になっていました。
採用したシステムは、HoloLens 2のホログラフィックの投影位置を測量機器トータルステーションの連携による高精度表示と、位置ズレをリアルタイムに補正することで課題が解決されました。
北海道電力:巡視点検アプリによるDX支援
北海道電力とアバナード株式会社は、MR技術を活用した発電所巡視点検業務用のアプリケーションを共同で開発し、使用を開始しました。
このアプリは、HoloLens 2をベースとしたヘルメット一体型デバイスで利用されます。
現場環境下の発電所で使用するために開発され、職場内研修や実務で習得していた巡視点検の技術をMRの活用で明確にし、業務の標準化・可視化が可能になりました。
HoloLens 2とクラウドサービスを使用することで、広範な巡視点検のナビゲーションが可能であり、HoloLens 2上に表示された順路に沿って移動することで、作業指示や参考資料が自動的に表示され、巡視点検をサポートします。
トヨタ:自転車整備における人材育成支援
トヨタ自動車では、現場の整備士が作業手順書や修理書を参照しながら自動車整備を行っていますが、資料の数が膨大で保管スペースが不足していること、平面のイラストでは車内の立体構造を理解しづらいことが課題となっていました。
この解決のため、トヨタ自動車はMR技術を活用しました。
整備士はHoloLens2を装着し、整備を行う車種の3D作業手順書や修理書を現実空間に重ねて見ることができます。
作業を行う車両の部分についての作業手順が表示され、指示が表示されることで作業効率があがります。
MR技術の活用により、整備士は作業手順書や修理書を参照する手間や時間が削減し、作業ミスの低減が期待されるほか、遠隔地と現場のコミュニケーションも円滑に行えるようになりました。
専門家が遠隔地の現場に作業指示を出すなどの連携も可能です。
長崎大学:遠隔医療への応用
長崎大学では、「NURAS(ニューラス)」というMR技術を使った医療システムを用いてリウマチ患者さんの治療を行っています。
NURASは高精度の遠隔診断を可能にするシステムです。
NURASは、まず3Dスキャンによって、関節リウマチの患者さんの手をスキャンします。
次にスキャンしたデータを遠隔地にいる医師へ転送します。
そして、医師は受け取ったデータをHoloLens2を通して確認します。
MRヘッドセットでデータを見ると、関節の動きを立体的かつリアルタイムに観察できるので、医師は患者さんの状態を遠隔地にいながら正確に判断できるという仕組みです。
関節リウマチの診断には、関節の状態を正確に評価することが不可欠です。
しかし、従来のテレビ電話やweb会議は、平面映像であったため、患者さんの関節を正確に評価することに難がありました。
NURASであれば、3Dホログラム映像を任意の方向に回転させるなどして、あらゆる方向から観察可能なので、これまでの遠隔診療における課題を克服できます。
NURASは、病院の遠方に住んでいて通院が困難な患者さんにとって、大きな助けになるシステムです。
大林組:建築現場での作業効率化
ゼネコン大手の大林組は、MR技術を活用することで、建設現場の作業を大幅に効率化できるシステムを開発しました。
たとえば、これまでは柱などの建築資材の情報は膨大な量の紙資料で確認する必要がありました。
しかし、MR技術を導入することによって、タブレット端末を現場の資材にかざすだけで必要な情報が得られるようになりました。
また、傷や汚れなどの情報や工事の進捗を現場で記録して他の従業員と共有できたり、建物の完成予想図を実際の現場とリンクする形で浮かび上がらせて確認したりといった便利な使い方が可能です。
このシステムによって、現場の検査業務に必要な作業時間が30%削減されるとのこと。
MR技術が人手不足の解消につながり、ひいては安全性や生産性の向上に役立っています。
|MRの将来性は?
今後は、多くのメーカーがMRデバイスの市場に参入し、性能の向上や軽量化を目指して既存のデバイスを進化させる過渡期がしばらく続く見込みです。
現時点では、主に産業向けがMRの中心であり、短期的には産業市場の拡大が予想されます。
中長期的には、デジタルコンテンツのホログラフィック表示を活用したオンラインコミュニケーションや医療現場での患者とのコミュニケーション、リハビリ補助など、さまざまな用途での市場の拡大が期待されます。
また、教育分野では学生に新たな学習体験を提供するためにMR技術を活用し、エンターテイメント分野では新しいゲームやエンターテイメントコンテンツを提供することも可能です。
|まとめ
いかがでしたか?
本記事ではMR技術のメリットや将来性について、実例をいくつかあげて紹介致しました。
現実の空間にホログラフィックが表示される、SF映画ではおなじみだった技術が私たちの身近になってきました。
MRの活用が産業向けだけでなく一般消費者向けになっていくのも時間の問題だと思われます。
MR技術の発展により、私たちはより豊かな体験や新たな可能性を探求することが可能になっていくでしょう。
みなさんはどんな体験をしたいですか?まだまだ誰も気づいていないアイディアがあるはずですよ。
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