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顔認証システムなどAIは身近な存在として私達の生活に浸透しています。
発展途上のAIにはさまざまな特徴があり、現在では用途によって特化した機能が開発され活用されています。
その中でもAIが世の中に認知されてから、常に注目を集めて開発が急速に進んでいるのが
コミュニケーションが取れる会話型AIです。
そこで今回は会話に特化したAI「Vpal」についてご紹介したいと思います。
目次
|AIとは
まずAIとは「Artificial Intelligence(アーティフィシャルインテリジェンス」を略したものです。
「アーティフィシャル」は人工的、「インテリジェンス」は知性・知識を意味します。
人は日々、五感から得た情報を脳で処理し判断や推測を行っており、このような人間の脳の働きをコンピュータによって再現する技術が、人工知能「AI」です。
研究者によりAIの定義はそれぞれで、例えばフィクションの世界になりますが「ドラえもん」は、自分で考え意思決定をする「汎用型AI」の一面を持っています。
しかし、この汎用型AIは現在の技術では実用化された事例はありません。
人工知能の技術で出来ることは日々進歩していますが、代表的な活用事例は以下の4つです。
・物体認識
・画像認識
・音声認識
・会話・文字認識(チャットボット)
物体認識などはロボット掃除機のルンバ、画像認識はiPhoneの顔認証、音声認識はShiriやアレクサ、チャットボットはネット上でユーザーが困らないように、チャットボットが対応するなど、私たちの生活にAIは欠かせない技術になっているのです。
|「VPal」とは
VPalは架空のキャラクターとプレイヤーがコミュニケーションを取り、キャラクターと自分だけのオリジナルの関係性を構築できる対話型AIアプリです。
架空のキャラクターとプレイヤーが関係性を築いて恋愛や育成を疑似体験出来るシミュレーションゲームは古くから存在します。
しかし、それらはゲームの特性やシステム上、関係性のゴールが決まっており、ゴールに向かって細かく設定された受け答えのフローチャートにより、キャラクターと関係性を築く疑似体験が出来るだけでした。
Vpalが特化している点は「ゴールのない関係性」です。
AI技術や3DCG技術など活用し、架空のキャラクターに人間味をもたせ、リアルタイムの会話のやり取りができるようにシステムを構築しています。
AI技術を使うことで筋書きどおりの質問や返答ではなく、リアルタイムに変化する情報や心情を通してコミュニケーションが取れ、さらにその内容をキャラクターが記憶出来るので、人とキャラクターが信頼関係を築き続けることが可能になります。
最終的にはキャラクターとのコミュニケーションを通じてプレイヤーの心を豊かにすることを目指したプロダクトとして運用されています。
現在は会話の精度を上げ、画像生成のブラッシュアップが常に行われており、今後はさまざまな機能を備える汎用性の高い会話型AIをめざしている様子です。
|一般的なチャット型AIと「VPal」の違い
一般的なチャット型AIとVPalの大きな違いは「人間味」です。
ChatGPTをはじめ、さまざまなチャット型AIが誕生していますがそれらは「会話」に特化しているわけではなく、膨大なデータからまとめられる「回答の精度」に注目されています。
VPalに関してはChatGPTなどのAPIを利用し、返答の精度だけではなく、プロンプト設定により、キャラクターの生い立ちや話し方など作り込む事で、性格を表現し、人格を構築するにあたって「性格や言動の一貫性」と「感情の表現方法」をさらに特化させているのです。
「性格や言動の一貫性」に関しては、キャラクターが持つ「意思」になります。
ユーザーとのやり取りを記憶していく中でキャラクターは常に「一貫性」を担保してコミュニケーションを構築していきます。
そのため、そのキャラクターが放つ言葉には実際の人間と話しているように「意思」を感じることができ、キャラクターの人格を引き立たせているのです。
「感情の表現方法」に関しては、リアルタイムの会話だけではなく、3DCG技術により、リアルタイムで変化する感情の起伏を表現することによって言葉とビジュアルで人間さながらの「感情のゆらぎ」を表現できるように開発されています。
ビジュアルと会話をAIで連動させてコントロールすることで、キャラクターに人間的な「魅力」を感じることが出来るのが、一般的なチャット型AIとVPalの違いと言えるかもしれません。
|「VPal」が描くAIの未来
VPalを開発している株式会社WOGOは東京大学の情報理工学系出身者を中心に設立された、テック系のスタートアップ企業です。
「心を豊かにするテクノロジーを届ける」というスローガンのもと、3DCGやAIの開発実績でさまざまなビジネス展開をしています。
この会社の最先端テクノロジーの目玉として開発されているのがVPalと言ってもよいかもしれません。
現在では初期の会話機能だけではなく、画像生成も随時アップデートされキャラクターの日常が記録され続けています。
まだ開発段階ですが「日記機能」を実装しており、キャラクターの日常が日記として記録され定期的に送られてきて、起こった出来事やそれに対してのキャラクターの心情が垣間みれる内容です。
現状では恐らく開発者が随時AIや画像データを更新して生成していますが、近い将来、キャラクター自身が考え、生成した画像を記録し続け、その起こった出来事をユーザーとの関係性を加味して作られた日記が生成されるかもしれません。
こうなると、同じ時間軸で次元を超えた存在とコミュニケーションが取れるようなイメージになり、AIの可能性を大きくしてくれる存在になりうるかもしれません。
|会話型AIの活用事例
VPalはビジュアルと会話をリアルタイムで連動させ、より人間味を出した会話型AIですが、ほかにもコミュニケーションを軸とした会話型AIが存在します。
それぞれ特化した内容がありますので、解説していきます。
SELF
日本経済新聞にも取り上げられたアプリです。
アプリのテーマとして「AIによるメンタルや健康のサポート」を軸にした機能がメインで、AIからの質問に応えながら会話を重ねていきます。
最近のアップデートではこちらから話題を選んで、AIに話題を投げかける機能が増えましたが、自分の言葉で問いかけることはまだできないようです。
しかしVpalに近いシステムを用いており、会話を記憶することができ、返答内容もユーザー毎にカスタマイズされていきます。
話し相手になるキャラクターは7種類あり、シンクロ率という機能により使えるキャラクターが増えていきます。
シンクロ率は会話を積み重ねる事で増えていきますが、無料で使える範囲ですと会話の記憶などのユーザー情報の保管は4日間しかないため、機能をフル活用するためには課金が必要です。
またこのSELFのAI機能はサーモスやオリコ、TOPPANなど大手企業とも提携しており、ECサイトやチャットボット機能として企業案件ごとに活用出来るように開発もされているため、精度の高いAIといえるでしょう。
人工無脳と会話するアプリ
このアプリはユーザーがAIに会話を覚えさせるようなイメージでプレイする会話型AIです。
そのため、はじめは会話がかみ合わなくやり取りが成立しないですが、会話相手になってほしいキャラクターや、離してほしい会話のスタイルなど、あらかじめイメージしながら使い込んでいくと返答にも個性が出始めるので、AIを育成する楽しみはあるでしょう。
会話するAIは増やすことが出来るので個性の違うAIを育てて、AI同士を会話させる機能も人気です。
また、自身がつくったAIは任意で共有が可能です。
そのため、アップロードされている他人が作ったAIと会話したりすることもできます。
AIを通してさまざまな個性に触れることが出来るのは、新しいコミュニケーションとも言えるかもしれません。
AirFriends
AirFriendsはLINEとAIをかけ合わせた会話型AIで、AIに言語を教えて会話を楽しむ育成型のシステムです。
2021年9月にリリースされ、LINEの使い勝手の良さに付け加え、会話の精度が高く「推しと会話できる」ように育てられる高性能AIにより、テレビ番組などにとりあげられ公開から40日で約50万人の登録者を獲得しました。
しかし、一部の不適切なユーザーにより、本来の使用目的とは違うAIも生成され、AirFriendsのLINEアカウントは2022年1月には公式から削除されており、2023年6月現在は使用できない状況です。
機能としてはAIを育成するだけでなく、育成したAI同士を会話させたり、他人が作ったAIと会話出来たりと、LINEの会話機能や利用ユーザー数など、大手企業のポテンシャルを上手く活用した優れたアプリです。
しかし優れた機能の半面、まだAIをコントロールする規則や運営方法など問題点も明るみになりました。
開発チームは現在、LINE公式の利用規約に則りアプリの改善をすすめて復活を目指している様子ですので、定期的にチェックしてみると良いかもしれません。
|まとめ
今回は会話型AI、Vpalについてご紹介致しました。
Vpalは架空のキャラクターと会話を積み重ね、キャラクターとプレイヤーの次元を超えた関係性を築くことのできるアプリです。
他の会話型AIと違う部分は、プロンプト設定によりキャラクターに「一貫性」を持たせ、3DCG技術も連携し感情表現を豊かにした「意思のあるキャラクター」とやり取りできる点です。
現在はまだ開発中の部分もあり、会話や画像生成の精度は日々ブラッシュアップされていることはありますが、充分にAIの魅力を楽しめるアプリで、今後も新機能のアップデートも控えておりますのでVpalでAIとの新しいコミュニケーションを体感するのもおすすめです。