インスタグラムの画像加工や、家具や家電製品のECサイトなど、

AR技術は今や生活の一部として浸透しています。

このような便利な技術を「自分でも活用してみたい」と思う人は多いのではないでしょうか。

例えば会社で使う紙のマニュアルをARで簡略化や、

学園祭でスマホを使ってちょっとした仕掛けを作成したりなど、

AR技術はアイデア次第で幅広く応用できます。

そこで今回はARの活用事例と無料で使えるARアプリのご紹介を致します。

|ARとは

Augmented Reality(アグメンティッド・リアリティ)の略です。

一般的には「拡張現実」と呼ばれています。

この技術は目の前に実際に見えている風景や物に対して、ARグラスやスマートフォン、タブレットなどデバイスを通してバーチャルな視覚情報を追加できます。

例えば製品の組み立てであれば、デバイスを通してその製品に作業手順や製品の説明を投影して作業の補助をしたり、見てほしいところにマーキングしたりなど、現実世界の製品に補足情報を加えて、より分かりやすくする技術です。

また、ARを使えば目の前で確認できないものをまるで存在しているかのように体験することもできます。

ARは情報の補助だけではなく現実世界のイメージを拡張させて、シームレスなコミュニケーションがとれるのも特徴です。

AR(拡張現実)とは?活用シーンからVR、MRとの違いまでわかりやすく解説
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|ARが注目される理由

AR技術を活用することで主に以下の3つのメリットが得られるため、さまざまな業種から注目されています。

  1. 作業効率化
  2. コストの削減
  3. マーケティングへの活用

これらは業種を問わず、応用できる事もあるので職場や業務内容など、ご自身が置かれている環境に当てはめて考えてみることをお勧め致します。

作業効率化

事務や営業、または実際にものを組み立てる製造業など業種を問わず、現場ではとにかく無駄なものがないほど作業の効率化が望めます。

例えば多数の道具の使い分けや、狭い作業スペースでマニュアル確認、同じ現場にいてもその場を離れ担当者に確認しなければいけない場面など、作業が中断し無駄な時間が増える事はどの業種にも多いはずです。

そのような時にARグラスを使えば、ARデバイスを通して目の前でマニュアルの確認や、責任者・担当者のアドバイスなどをハンズフリーの状態で受けながら作業を進められるため、効果的な道具の使い分けや無駄な工数を省きながら効率的に仕事をすすめることができます。

また、目の前の物体に投影されたマニュアルや製品情報、リアルタイムの具体的な指示などは直感的で、紙のマニュアルや画像だけのやり取りよりも理解が早く、シームレスな指示ができることで一人当たりの生産性向上も期待できるのも特徴です。

コストの削減

ARを活用することで「現物確認」の手間を省けます。

そのため、今まで「現物確認」のためにかかっていたコストを抑える事が出来るのです。

例えば遠隔地からARを使って現場と繋ぎ、作業支援できるようになることで、移動費や人件費の削減にもつながったり、今までは現物・現場と同じサンプルや環境を作って作業シミュレーションしたりする事をAR技術で補うことで、サンプル制作のコストや時間の削減にもつながるでしょう。

また、工場設備や精密機器など大きな設備にかかっていたメンテナンスコストを抑える事も可能です。

ARで管理されたデータと実際に稼働する設備や機械本体を連携させることで、その機器にデータを投影して可視化し、分解や組み立て点検の作業工程を最小限にして効率化させることも可能です。

今まで現場では目視で行っていた作業を自動で正確に実行可能になることで、作業工数も減り効率的なコスト削減につながることも考えられます。

マーケティングへの活用

AR技術を使ったマーケティングのメリットは「手軽さ」にあります。

スマートフォンやタブレットなど、今やほとんどの人に普及しているデバイスと言っても過言ではないでしょう。

また、ARの優れているところは「体験型」という点です。

例えばARを活用していないECサイトでは、商品のスペックは分かっても実際に使ってみるイメージはつきにくく、購入まで顧客の興味を引くことが難しい状況でした。

そこに、顧客のスマートフォンのカメラを通して実際に自分がその商品を使う環境で、検討している商品を投影してイメージを膨らませる事で購買意欲につなげる事が可能です。

顧客が持つデバイスで、しかもチラシやサンプル等の現物は最小限しか使わないで、大多数にリーチでき、さらに購買意欲を高める体験を付加出来るのはARならではでしょう。

|ARの導入事例

では実際にARを使った活用事例をご紹介致します。

ARの機能を顧客の体験に結び付けて、地域活性化から商品プロモーションまで工夫次第でさまざまな場面で活用が可能です。

四万十町役場

高知県四万十町では地域活性化のキャンペーンとして、AR技術を用いたスタンプラリーを実施。

じつは四万十町は「フィギュアの聖地」とよばれており、フィギュアや模型の制作で世界的に有名な「海洋堂」のミュージアムがあります。

2020年「シン・エヴァンゲリオン劇場版」シリーズの公開と共に、エヴァンゲリオンとコラボした企画をミュージアムで行うのと連動して、四万十町のグルメやレジャー、イベント等を廻ってスタンプを集める「シマント補完計画」とういイベントを行いました。

「シマント補完計画」では、指定のポイントにいくと店舗の看板などがARに反応するように設定された「マーカー」になっており、スマートフォン等のデバイスで読み込むとエヴァンゲリオンとコラボしたスタンプ画像が表示されて、集めることが出来ます。

また、特定の撮影スポットではカメラ越しの風景にキャラクターを投影して一緒に撮影出来るような仕組みもあり、アニメファンの誘致にもなりました。

タリーズコーヒージャパン株式会社

大手カフェチェーン店「タリーズ」では、人気キャラクターとコラボした企画で、画面越しに3Dフォトフレームを投影するARを用いています。

店舗でできる体験を充実させるために行われた規格で、対象商品を買うとレシートにQRコードが記載されており、それを読み込むと画面にキャラクターのオリジナルフォトフレームが出現し、買った商品などを店内で「映える」ように撮影が可能。

キャラクターのフォトフレームもランダムで内容が変わるため、一人当たりのAR使用回数は2,3回になりSNSなどの拡散による効果も狙え、キャラクターのファン層をタリーズに誘致する企画になりました。

株式会社ディクセル

株式会社ディクセルは車のブレーキパッドなどを扱うメーカーです。

自社製品の拡販のキャンペーンでARを活用しています。

例えば製品展示会などで、ブースで配るステッカーをARマーカーとして設定し、そのステッカーを読み込むと画面にスロットが投影されて、販促品があたる抽選が始まります。

ARの抽選体験後には「ブレーキパッド診断」という、製品に紐つくWEBページに移動してチャット形式に応えていくと自身にあったブレーキパッドがわかる仕組みです。

狙いとしては販促品とAR体験で顧客の目に止まるようにし、診断から製品の印象付けに入り購入に結びつける流れでARをかつ用意しています。

|無料で使えるAR生成アプリ3選

ここでは実際に自身でカスタマイズして利用できるARをご紹介致します。

現状、さまざまな可能性がある技術ですが発展途上でもあるため無料で使える範囲は限られますが、使用用途によっては使える機能もありますので是非チェックしてみてください。

クラウドサーカス「COCOAR・LESSAR」

出典:https://www.coco-ar.jp/

クラウドサーカスという会社が手掛けるAR開発サービスです。

さまざまな大手企業との提携実績もあり、ARをマーケティングツールとして活用することに力を入れています。

ARアプリを用いて感覚的に操作できる「アプリ型」と、販売促進やキャンペーン等、訴求拡販に向いている「Web型」の2パターンあります。

無料で使えるプランでも、物体をマーカーとして設定したり、指定の空間に画像を投影したりするARの基本的な効果を活用することが出来ますが、データ処理が低速だったり、ARのコンテンツ制作に制限があったり、ビジネスで利用するには物足りない設定です。

マーケティングに活用したり、ARスタンプラリーなどコンテンツを作り込んだり、本来のポテンシャルを発揮するには課金が必要です。

ARToolKit

出典:https://www.msoft.co.jp/service/artoolkit.html

M・SOFTという日本企業が手掛けるAR開発サービスです。

こちらはアプリ開発の専門的な知識はある程度必要ですが、自社のシステムを「オープンソース」として無料で提供しています。

ARToolKitは、多様なプラットフォームに対応しており、それぞれ用途に合わせた利用が可能です。

iOS、Android、Windows、Mac、Linux、FLASHに対応しています。

ただし、ARToolKitは、ライブラリ形式で提供されています。

ですので、単体でARの実現はできません。しかしその分、依存の少ない形でデータがライブラリ化されているため、

・自社製品(アプリ)に組み込みたい

・ARの機能を独自に拡張したい

・マーカーを認識してコンテンツを出す以外にもさまざまな機能を追加したい

といったニーズに応えることが可能です。

ARCore

出典:https://developers.google.com/ar?hl=ja

GoogleがAndroid端末向けに開発したARシステムがARCoreです。

こちらも基本無料で使えますが、専門知識などある程度必要で開発者向けのサービスでしょう。

しかし、ARCoreを活用するために必要なソフトの多くは「Github」という、世界中のエンジニアや企業がシステム開発を行う際に、プログラムのコードやデザインのデータを保存したり共有したりできるサービス上のGoogle ARに公開されています。

使い方もネットで検索すると出てくるので、習得には時間はかかるかもしれませんがライセンスを取得しなくてもアプリを開発でき、無料でARフレームワークを使えるのがメリットです。

|まとめ

今回はARの活用方法と無料で活用できるアプリのご紹介致しました。

ARは個人的に楽しむことはもちろん、生活に一番身近なデバイス、スマートフォンを活用することでマーケティングツールとしても活用されています。

無料でARを作成できるサービスやシステムも存在しますが、無料では利用に制限があったり、専門知識が必要だったりと課題はあります。

しかし、ARにふれて自身で体験する敷居は確実に下がって来ていますのでまずはARソフトに触ってみることをお勧め致します。