clusterやVRChatという名称を、メディアや周囲の人たちから聞いたことがあるはず。
しかし、それぞれの違いについて、いまいち理解していないという方は少なくありません。
両サービスとも、仮想空間上での交流を目的としたサービスなのですが、まだまだ新しい技術であることから、詳しく知っているかたは少数派でしょう。
しかし、仮想空間を活用したサービスは着実にユーザー数を伸ばし続け、今後のスタンダードになる可能性も十分に考えられます。
本記事では、clusterとVRChatの特徴から違いについて解説します。
一読いただければ、ご自身に最も適したサービスが選択できるようになり、サービス上であらたな交流、楽しみも生まれるはず。
ぜひ最後までご覧ください。
目次
|メタバースサービスである「cluster」と「VRChat」
まずは、clusterとVRChatの基本的な概要について、以下の項目に沿って解説していきます。
- 仮想空間での交流が可能
- ソーシャルVRと呼ばれる
- アバター作成の楽しみ
仮想空間での交流が可能
まず、両サービスに共通している内容としては、「仮想空間上での交流」が可能という点です。
メタバースと呼ばれるサービスであり、現実世界とは異なるもう一つの世界で物理的に距離の離れた人たちとの会話や交流が可能なのです。
VRゴーグルといった専用機器を利用すれば、まるで隣りにいるかのような臨場感を伴った会話が実現します。
仮想空間上のカフェや公園などで、仲の良いプレイヤー同士で集まって会話をすることはもちろん、同じゲームをプレイすることも可能。
仮想空間上では様々なイベントも開催されていますので、1人で参加してもすぐに気の合うプレイヤーが見つかるでしょう。
ソーシャルVRと呼ばれる
clusterやVRChatといった、仮想空間上での交流を目的としたサービスは「ソーシャルVR」と呼ばれます。
従来のSNSであるTwitterやInstagramは、基本的にテキストベースもしくは写真、動画を通じた交流が主流でした。
それらと差別化して、「VRSNS」と呼称されることもあります。
会話を通じた新しい出会いはもちろん、現実世界のような飲み会、音楽ライブといったイベントの開催も可能であり、現実世界と遜色ない交流が簡単にできます。
ソーシャルVR上で得た知識は、現実世界での活動や仕事に活かすこともできますので、第二の人生のような感覚で楽しめるはず。
音声での会話がベースとなりますが、中にはテキストチャットや身振り手振りといった、「無言勢」と呼ばれるプレイヤーたちも存在しています。
自身のスタイルに合った楽しみ方ができる点も、ソーシャルVRの魅力といえるでしょう。
アバター作成の楽しみ
ソーシャルVR上では、アバターと呼ばれる自身の分身を操作することになります。
そのため、現実世界での立場や年齢を一切気にしない、自由な会話が簡単に実現するのです。
そして、利用するアバターは公式から配布されているものだけではなく、自身で自由にデザインできます。
clusterの場合は「VRM」という拡張子にすることでオリジナルアバターの利用が可能。
そして、VRChatの場合はゲーム制作に利用されるUnityを使うことでアップロードできます。
ネット上で配布されているデータを流用すれば、clusterでもVRチャットでも、簡単に利用できます。
アバター作成はVRならではの楽しみといえます。
個性を出しながら魅力的なアバターを生み出してみましょう。
|「cluster」と「VRChat」両サービスの特徴
基本的にはclusterもVRChatも、ソーシャルVRと呼ばれる仮想空間での交流を目的にしたサービスです。
それでは、具体的に両サービスでの違いは何があるのでしょうか。
以降でそれぞれのサービスの特徴、強みを解説していきます。
日本産のメタバース「cluster」
clusterは日本のクラスター株式会社が運営、提供しています。
リリース日は2017年5月31日であり、すでに6年以上の運営実績があります。
そして、最大の特徴はスマホ、PC(Windows、Mac)、そしてVR機器から利用できるという点です。
一般的なソーシャルVRサービスの場合、VR機器もしくはPCからの接続が一般的。
そして、3Dコンテンツを利用するために求められるPCスペックも高くなります。
しかし、clusterの場合はスマホ1台あれば簡単に利用できるのです。
そして、国産メタバースということもあり、サービスは全て日本語に対応しています。
プレイヤーはワールドという仮想空間上において、様々な交流が可能。
国内のプレイヤーと密に繋がれるイベントも多数開催されており、複数人が一致団結してコンテンツを作る文化が出来上がっています。
日本人同士での交流、日本文化に根付いたイベントへの参加を目的とする場合は、clusterが適しているといえます。
しかし、2023年6月現在、ワールドへの同時接続は25人までとなっています。
イベントへの参加も上限が500人になっているなど、人数に制限がある点は注意が必要です。
最も規模が大きいメタバース「VRChat」
VRChatは、Graham GaylorとJesse Joudreyという人物によって開発されたサービスです。
現在は、米国企業のVRChat Inc.によって運営が行われています。
リリース日は2014年1月16日とclusterよりも3年ほど早く、その規模も世界最大と言われるほど大きくなっています。
対応している接続端末はPC(Windowsのみ)もしくはVR機器となっており、比較的限定的といえるかもしれません。
しかし、VRを利用した没入感は圧倒的であるため、より密接な交流が実現できるでしょう。
日本語には非対応ですが、日本国内でのプレイヤーは30万人以上いるといわれています。
そのため、世界中の人との交流を目的にしなくても、日本人との会話は十分に可能でしょう。
プレイヤーがコンテンツに直接手を加えられることが最大の特徴であり、「プレイヤーが成長させていくソーシャルVR」とも呼ばれています。
ワールドのクリエイターも著名な人物が現れ始めており、そのクオリティは「レインダンス映画祭」のVR/MR部門で評価されるほど。
圧倒的な規模感、没入感、クオリティが実現した、まさに世界最大規模のメタバースだといえるでしょう。
|それぞれの大きな違いは?
日本が開発したソーシャルVRのcluster、そして世界で最大規模を誇るVRChat。
より詳しく、それぞれのサービスの違いを解説していきます。
スマホと日本語に対応する「cluster」
まず、cluster最大のメリットとしては「スマホで利用できること」、そして「日本語に対応していること」でしょう。
スマホで利用できるため、プレイヤーの年齢層も10代〜60代までと、男女を問わず幅広くなっています。
イベントなども日常的に色々なワールドで開催されており、自身の趣味嗜好にあった仲間と出会える可能性が高いでしょう。
そして、日本語対応は新しいサービスに手を出す面で重要な要素。
プレイヤー同士も日本語での交流が主になりますので、日常生活と変わらない感覚での利用ができるはずです。
初心者へのサポート体制も手厚く、不明な点はスタッフに質問することで迅速に解決可能。
アバター作成についても日本人好みであり、ゲームのキャラクターを作る感覚で楽しく進められます。
日本企業のサービスであるため、おすすめのワールドに関する情報も多く出回っており、利用するハードルは低いといえます。
TwitterやInstagramといったSNSを利用する感覚で、スマホ経由で簡単に交流できる点はcluster最大の強みです。
英語だが高品質の「VRChat」
VRChat最大の特徴は「世界最大規模のソーシャルVRであること」と、「その圧倒的なクオリティ」です。
プレイヤー人口が多いため、その分自身の趣味嗜好に似通った人物と出会いやすくなります。
しかしながら、前述した通りVRChatは海外製のため日本語には非対応。
そのため、アカウント登録からログイン、プレイに至るまでの全てを英語で進めなければいけません。
しかし、日本人初心者向けにプレイ方法や遊び方を教えてもらえるワールドも存在していますので、次第に慣れていく可能性は十分にあります。
VRChatはVR機器、パソコンのみからのアクセスを前提としていますので、全体的な品質はclusterよりも高くなります。
スマホを想定したサービスの場合、どうしてもスペックに上限があるため、ビジュアルやサービス内容に限界が出てきてしまいます。
また、VRChatはTwitterと連動して活動しているプレイヤーが多いです。
そのため、Twitterを活用することで、同時期に始めた「同期」のような友達を見つけやすいメリットもあるのです。
|気軽に始めるなら「cluster」、こだわりたいなら「VRChat」
日本企業が運営する「cluster」と、世界最大規模を誇る「VRChat」。
両サービスの違いを改めてまとめてみましょう。
◆cluster
- スマホからの接続が可能
- 日本語に対応
- 幅広いプレイヤーが存在
- 魅力的なイベントが開催
◆VRChat
- VR機器、PCからの接続のみ
- 基本英語であり日本語非対応
- 世界最大のプレイヤー数
- 品質、自由度が高い
これらの内容から、気軽にソーシャルVRを試したいと考えるのであれば「cluster」、品質や交流内容にこだわりたい場合は「VRChat」の利用がおすすめだといえるでしょう。
clusterであればスマホから気軽に開始できますので、初期費用を必要としません。
慣れてきた段階で、VR機器の購入など本格的な利用を考えても十分です。
VRChatはVR機器やPCからの接続ですので、ある程度まとまった時間があり、落ち着いて接続できる環境ないと難しいかもしれません。
しかし、VRChatであればソーシャルVRならではの体験を最大限味わえます。
このように、両サービスには類似した点もありますが、違いが存在しています。
本記事の内容を参考に、ご自身のプレイスタイルに応じたサービスを選択していただければ幸いです。