人間の顔は人それぞれであり、その特徴によって私達は他人を認知しています。
「誰かに似ているね」と言われることはあっても、100%一致することはない。
そんな複雑な造形を持っているのが、人間の顔なのです。
現在、AIを活用することで人間の顔を簡単に生成することが可能になっています。
そして、AIによって生成された顔は、なんとこの世に存在しない全く架空の顔なのです。
本記事では、AIによる人間の顔の生成について解説していきます。
数年前では考えられなかった技術が、現在では誰でも利用可能になっています。
ぜひ最後までご覧ください。
目次
|この世に存在しない人の顔がAIによって生成できる
AIによる顔生成について、以下の項目にそって解説していきます。
- 画像生成AIの進化によって実現
- generated photosによって注目を集める
画像生成AIの進化によって実現
画像生成AIは、テキストや簡単なイラストをベースに、AIが鮮明な画像を描き出す技術です。
例えば、「犬が猫を見ている様子」といった情報を入力するだけで、内容に応じたイラストが完成します。
この技術は、イギリスの企業であるStability AIが「Stable Diffusion」という画像生成AIを公開したことで注目を集めました。
それまでもOpenAIの「DALL・E2」、Midjourneyの「Midjourney」といったサービスはありましたが、こちらは有料もしくはベータ版のみの提供でした。
そんな中、「Stable Diffusion」は一般向けに無料で公開されたことで、一気に普及することになったのです。
generated photosによって注目を集める
画期的な進化を続けている画像生成AIですが、存在しない人の顔を生成する技術に注目が集まった出来事は2019年に遡ります。
Webサイトである、「generated photos」に、著作権フリーとなるオリジナル顔画像10万枚が公開されたのです。
通常、存在する人間の顔であれば著作権等の問題から、プレゼンや商品画像での使用に関して確認すべき事項が発生します。
そして、AIを利用して生成した画像についても、著作権の有無について曖昧な状況が続いていました。
そんな中、「generated photos」に公開された顔写真は、著作権フリーを明言したことで、大きな注目を集めたのです。
今後、顔だけではなく体全体も生成できるようになれば、モデルといった職業のニーズが激減する可能性も考えられるでしょう。
ChatGPTに代表される文章生成AIと同様に、今後の世界を変える技術として注目されています。
|AIにおけるGAN技術の活用
人間の顔は、言うまでもなく人それぞれです。
しかし、目と鼻と口といった基本的なパーツは共通しており、それぞれの微妙な違いによって個性が現れるのです。
このような複雑な造形を、ランダムに実現させることが可能となった技術は、GAN(Generative Adversarial Network)と呼ばれています。
この技術は、2014年にイアン・グッドフェローらが「Generative Adversarial Nets」という論文で発表した論理に端を発します。
2014年以降、GANに対する研究は進められており、2018年には新しい技術としてStyleGANが発表されました。
StyleGANの登場によって、「写真が証拠として役に立たなくなった」と言われるほど、現実的な画像生成が実現したのです。
現在では、AIモデルによる写真集の販売もされるなど、まるで現実世界のモデルと見間違えてしまう程の画像が生み出せます。
SNS上では実在する人物なのか、AIが生成した画像なのか見分けが付かない写真が日々投稿されています。
まさに、「写真」は証拠としての説得力を無くしつつあるといえるかもしれません。
|AIによる顔生成サービス4選
AIによる顔生成サービスについて、以下の4つをそれぞれ紹介します。
- Generated Photos
- This Person Does Not Exist
- FaceGenerator
- PhotoAC AI人物素材
Generated Photos
Generated Photosは、2019年に著作権フリーとなるオリジナル顔画像10万枚を公開したことで大きく注目を集めました。
生成できる顔の画像は以下のように、あらゆる要素から構成されます。
- 性別
- 年齢
- 人種
- 目の色
- 髪の長さ
- 髪の色
「高齢者」「幼児」「男性」「女性」など、基本的なものからあらゆるセグメントが用意されており、誰でも簡単に架空の顔を生み出せます。
著作権フリーの画像はすでに、様々な業界において活用されています。
出典としてリンク表示するといった条件はありますが、画像は全て無料でダウンロード可能。
より高品質な画像の生成、商用利用のライセンス取得の場合は、2.99ドル(約310円)から利用可能となっています。
This Person Does Not Exist
This Person Does Not Existとは日本語に訳すと、「この人は存在しない」です。
サイトを開くと、その名称通り架空の人間の顔写真が1枚だけ表示されます。
ユーザーが画像を指定するのではなく、This Person Does Not Existではランダムな画像が生成され続けるのです。
ページを読み込むたびに、色々な人の顔が永遠に生み出され続けます。
その種類は大人から子供まで幅広い年代、表情は笑顔だったり口を閉じていたりとリアルに再現されています。
人種についても多種多様となっており、本当にこの世に存在しないのか、思わず疑ってしまうような画像ばかりとなっているのです。
FaceGenerator
FaceGeneratorは主に、2つの機能が存在しています。
1つ目は「Browse Photos」と呼ばれる機能。
人種、年齢、性別、目の色などをもとにカテゴライズされた200万種類を超える画像の中から、目的に応じた画像を選択します。
細かい設定を元に指定できますので、想定に限りなく近い顔がこの段階で生成できるはずです。
そして、2つ目の機能である「Generate a photo」によって、性別、感情、肌の色などを細かく調整することが可能となっています。
月額19.99$(約3,000円)のサブスクリプション契約の場合、月間15枚までの高画質かつ商用利用が可能な画像がダウンロードできます。
PhotoAC AI人物素材
フリー画像サイトとして有名なPhotoACが提供する、AI人物素材は2019年5月20日から公開されている人物写真素材です。
利用方法も簡単であり、「AIで顔を作る!」をクリックするだけで、著作権フリーの顔写真がどんどん生成されていきます。
ダウンロードは1日50枚までですが、無料で著作権のない人物画像を取得できる点は魅了的。
被写体からのクレーム、使用差し止め請求といった不安から完全に開放されるでしょう。
しかし、現時点では人物の服装、メガネや手、性別といった細かい部分の再現で課題が残ります。
公式サイトには、今後のアップデートに関する記載もありますので、これからのサービス品質向上に期待が集まるといえるでしょう。
|まとめ
AIによる顔生成は、すでに人間の顔を一から創造できるレベルに到達しています。
この世に存在しない顔がどんどん生成される状況は、人によっては少し不気味に感じられるかもしれません。
しかし、実在する人間の顔には肖像権や著作権といった「権利」が存在します。
そのため、AIで生成した架空の顔の画像は、様々な場面での活用が可能となるのです。
利用方法についても、AIに対する知識を必要とせず、基本的にクリック作業のみで完結。
細かい部分の設定についても指定すれば、想像に限りなく近い顔が完成するでしょう。
今後の世界を大きく変えるかもしれない最新AI技術。
まだ試したことが無いという方は、ぜひ本記事を参考にお試しください。