不動産業界において、業務効率化と顧客体験の向上を同時に実現する切り札として「VR内見」の導入が加速しています。
しかし、「どのサービスを選べば良いかわからない」「具体的な導入効果が見えにくい」といったお悩みを抱えるDX担当者や決裁者の方も多いのではないでしょうか。
本記事では、VR内見の基礎知識から、成約率向上や営業工数削減といった具体的なメリット、そして2026年最新のおすすめサービス6選までを徹底解説しますので、是非最後までご覧ください。
|VR内見とは?
VR内見とは、VR(Virtual Reality)や360度パノラマ映像を活用し、スマートフォンやパソコン、VRゴーグルなどから、物件内部を立体的・没入的に体験できるサービスです。
従来の写真や動画では、画角の都合で「写っていない箇所」が必ず存在しましたが、VR内見では、360度カメラで撮影した画像や3Dデータを使うことで、ユーザー自身が視点を動かしながら部屋の隅々まで確認できます。
天井の高さ、窓の位置、動線の広さといった「空間としての情報」を直感的に把握しやすい点が特徴です。
また、多くのサービスは、ブラウザベースで動作し、URLをクリックするだけで閲覧できるようになっているため、遠方の転勤予定者や、共働きで時間が限られているファミリーなど、そもそも現地へ足を運びにくい顧客にとって、VR内見は「一次選別の標準ツール」として活用が進んでいます。
不動産・住宅業界でVR内見の活用が進む理由
不動産・住宅業界でVR内見の導入が加速している背景には、大きく二つの流れがあります。
ひとつは、非対面ニーズの拡大とオンライン商談の一般化で、もうひとつは、ポータルサイトやSNSを中心に「体験型コンテンツ」がマーケティング上、優位になってきたことです。
この二つの流れが重なった結果、VR内見は、単なる新しいガジェットではなく、「効率と体験価値を両立する営業・マーケティング基盤」として位置づけられつつあります。
非対面ニーズの拡大とオンライン商談の一般化
新型コロナウイルス感染症をきっかけに、非対面・非接触の商談スタイルが一般化しました。
不動産業界でも例外ではなく、遠方の顧客や忙しいビジネスマンのニーズに応える手段として、現地に行かずに内見ができるVR技術の導入が進みました。
2021年以降、全国的にオンライン内見の対応率が上昇しており、顧客側の利用経験も拡大しています。
ポータル・SNS・広告で「体験型コンテンツ」が強くなった
不動産情報を探す際、SUUMOやHOME’SなどのポータルサイトやInstagram、YouTubeなどSNSの活用が一般化し、動画・VRなどの「体験型コンテンツ」の影響力が増しています。
テキストや画像だけでは伝えきれない空間の広さや光の入り方、生活動線などを視覚的に伝える手段として、VR内見は広告効果の高いコンテンツとして注目されています。
|VR内見でできること
VR内見システムには、単に画像を閲覧するだけでなく、成約に向けた具体的な検討をサポートするための多様な機能が搭載されています。
ここでは、主要な機能である「360°ビュー」「ウォークスルー」「オンライン接客」について、それぞれの特徴と役割を解説します。
360°ビュー
360°ビューとは、自分を中心として上下左右、全方位を見渡すことができる機能です。
通常の一眼レフやスマートフォンで撮影された写真には「画角」の限界があり、撮影者の背後や足元、天井などは死角となってしまいます。
しかし、360°カメラで撮影されたデータであれば、部屋の隅々まで確認することが可能です。
例えば、物件選びで意外と見落としがちな「コンセントの位置」や「天井の照明器具のタイプ」、「床の傷や汚れの状態」なども、ユーザー自身が視点を操作して確認できます。
これにより、入居後の「イメージと違った」というミスマッチを防ぎ、情報の透明性を高めることができます。
ウォークスルー
ウォークスルーとは、画面上の矢印やポイントをクリックすることで、実際に物件内を歩いているかのように部屋を移動できる機能です。
360°ビューが「点」の情報であるのに対し、ウォークスルーはそれらを繋ぐ「線」の情報を提供します。
玄関からリビングへ、リビングからキッチンや洗面所へと視点を移動させることで、間取り図だけでは把握しづらい「生活動線」や「部屋同士の繋がり」を体感的に理解できます。
「キッチンからリビングの様子が見えるか」「廊下の幅は家具の搬入に十分か」といった具体的な生活シミュレーションが可能になるため、検討意欲の高い顧客に対して非常に有効なアプローチとなります。
オンライン接客
オンライン接客とは、営業担当者と顧客がWeb上で同じVR画面を共有し、通話をしながら案内を行う機能です。
VRコンテンツをWebサイトに掲載しておくだけでは、顧客の「見学」で終わってしまいがちですが、オンライン接客機能を活用することで「商談」へと昇華させることができます。
具体的には、画面同期機能を使って「ここの収納は奥行きがありますよ」とポインターで指し示したり、採寸機能を使ってその場でカーテンレールの長さを測ったりすることが可能です。
Zoomなどの汎用ツールと異なり、VR内見専用ツールにはこうした接客特化型の機能が組み込まれていることが多く、対面内見に近い密度の濃いコミュニケーションを実現し、クロージングへの移行をスムーズにします。
|VR内見のメリット
VR内見システムの導入は、単なる「新しい見せ方」にとどまらず、不動産会社の経営課題である集客力の強化や業務効率化に直結する成果をもたらします。
ここでは、具体的な4つのメリットについて解説します。
反響から来店・来場までの歩留まり改善
Webサイトでの反響獲得から、実際の来店・内見へと繋がる「歩留まり」の改善は、多くの不動産会社にとって喫緊の課題です。
VR内見はこの課題解決に大きく寄与します。
テキストや静止画だけの情報では、顧客は物件の良さを十分にイメージできず、問い合わせを躊躇したり、他社物件へ流出したりしてしまいます。
しかし、Webサイト上にVRコンテンツを掲載することで、顧客のページ滞在時間が延び、物件への興味・関心度(エンゲージメント)が高まります。
「もっと詳しく話を聞きたい」という動機付けが強化されるため、結果として質の高い問い合わせが増加し、来店率の向上が期待できます。
営業工数の削減
VR内見を活用することで、営業担当者の移動時間や鍵の手配などにかかる工数を大幅に削減できます。
従来は、「とりあえず部屋を見てみたい」という検討初期段階の顧客に対しても、現地案内を行う必要があり、移動を含めて数時間を要することも珍しくありませんでした。
VR内見を導入すれば、まずはオンラインで複数の物件を案内し、顧客の希望条件に合致する物件のみを絞り込んでから現地案内を行うというフローが確立できます。
これにより、成約確度の低い案内業務を減らし、営業担当者は追客や契約業務などのコア業務にリソースを集中させることが可能になります。
受注率・成約率の向上
VR内見は、顧客の意思決定をサポートし、最終的な受注率・成約率を向上させる効果があります。
現地内見後、帰宅してから「キッチンの広さはどうだったか?」「持っている家具は置けるか?」といった疑問が湧き、検討が長期化したりキャンセルになったりするケースは少なくありません。
VR内見のURLを顧客に共有しておけば、顧客は自宅で家族やパートナーと一緒に何度でも物件を見返すことができます。
疑問点をその場で解消し、納得感を醸成した上で契約に進めるため、意思決定のスピードが早まり、クロージングの成功率が高まります。
資産化
作成したVRコンテンツは、一度きりの使い捨てではなく、自社の貴重な「デジタル資産」として蓄積・活用できます。
例えば、賃貸物件であれば、一度撮影したデータを入居者が決まった後も保存しておくことで、次回の退去時に即座に募集活動を開始できます。
現入居者の退去を待たずに、VRデータを使って「先行募集」や「空き予定での内見」を実施することも可能になり、空室期間(ダウンタイム)の短縮に繋がります。
また、リフォーム事例としてアーカイブ化すれば、リノベーション提案の営業資料としても有効活用できるでしょう。
|【2026最新】おすすめVR内見・内覧サービス
現在、不動産業界では多種多様なVR内見サービスが提供されており、それぞれ「画質」「操作性」「接客機能」「価格」などの強みが異なります。
自社の課題(集客を増やしたいのか、接客を効率化したいのか)に合わせて最適なツールを選ぶことが重要です。
ここからは、2026年時点で不動産・住宅業界の担当者が導入を検討しやすいVR内見・内覧サービスとして、6つのサービスを紹介します。
monoVR

monoAI technology株式会社が提供する「monoVR」は、自社のニーズに合わせてオリジナルのVR空間やシステムを構築できるサービスです。
テンプレートにとらわれない自由度の高さが特徴で、特殊な接客フローをシステムに組み込みたいといった、画一的なツールでは実現できない細かな要望に対応可能です。
建築CADデータからのVR空間生成や、ECサイトとの連携など、独自性の高いVR内見システムをワンストップで開発・運用できます。
VR開発のご依頼は、下記よりお気軽にお問い合わせください。
ミニクル
株式会社スプレッドオーバーが提供する「ミニクル」は、施設案内や物件案内に特化したVRクラウドサービスです。
VR内見とビデオ通話機能を組み合わせることで、顧客の「より詳しく話を聞きたい」という要望に応え、詳細な打ち合わせをオンライン上で完結させることができます。
最大の特徴は、顧客の興味や理解を深めるための機能が充実している点です。アピールポイントへのタグ付け機能や、VR上での寸法測定機能により、顧客は家具・家電の配置イメージを具体的に持つことができます。
また、自動案内ボットによる顧客要望に沿った案内や、複数人へのライブ配信機能も備えており、合同見学会など多様なシーンで成約率アップに貢献します。
NURVEクラウド

ナーブ株式会社が提供する「NURVE(ナーブ)クラウド」は、ビジネスVRの大手が提供するコンテンツ収集・管理・配信プラットフォームです。
「VR内見」や「おうちでVR内見」といったサービスの基幹システムとなっており、店舗での接客から自宅でのオンライン内見まで幅広くカバーします。
特筆すべきは、顧客が見ている映像をスタッフが同時に視聴・操作できる機能です。これにより、店舗にいながら現地の感覚を共有し、効率的な案内が可能になります。
導入企業からは「顧客と感覚をすり合わせやすく、顧客満足度につながっている」との声も挙がっており、接客品質の向上を重視する企業におすすめです。
スペースリー

株式会社スペースリーが提供する「スペースリー」は、利用事業者数が7,000社を超えるクラウドVRソフトです。
「誰でも手軽に」をコンセプトに、撮影したパノラマ写真や3DCGデータをアップロードするだけで高品質なVRコンテンツを自動作成できます。
IT知識がなくても30分程度で制作可能な操作性が支持されています。
作成したVRはWebサイトやメール、SNSで活用でき、追客用URLを発行すれば顧客の閲覧データを取得可能です。
「クラウド管理でデータ編集の手間が大幅に削減された」という口コミもあり、業務効率化とマーケティングの質向上を両立させたい企業に最適です。
RICOH360 Tours

株式会社リコーが提供する「RICOH360 Tours」は、リコー独自のデジタルカメラ技術を駆使した高品質な360度パノラマツアー作成サービスです。
AIによる画像処理技術が標準搭載されており、撮影した写真を自動で明るく補正したり、パノラマ画像からプロモーション動画を自動生成したりできます。
また、「AIステージング」機能では、空室の画像にCG家具を自動配置して魅力を演出することが可能です。
THETAと連携することで撮影から公開までのフローを効率化でき、動画品質のばらつきを抑えながら、ポータルサイトでの代表物件選定を狙うためのリッチなコンテンツ制作を実現します。
KANTAN VR

インターピア株式会社が提供する「KANTAN VR」は、PCやスマホ不要で、一体型VRヘッドセットのみで完結する業務用VRソリューションです。
最大の強みは、4K解像度ディスプレイを搭載したヘッドセットによる圧倒的な臨場感と没入感です。
操作は非常にシンプルで、複雑な設定やコントローラー操作は不要。ヘッドセットを被るだけで自動的にコンテンツが再生される仕組みなどを構築でき、初めてVRに触れる顧客でも迷わず利用できます。
短期間のレンタル利用も可能で、店舗やイベント会場での待ち時間に高品質なVR体験を提供し、顧客満足度を高めたい場合に最適です。
|まとめ
VR内見は、もはや単なる「物件画像の代わり」ではありません。
「移動時間の削減」や「成約率の向上」といった営業効率の改善はもちろん、顧客にとっても「納得いくまで確認できる」「自宅から気軽に参加できる」という大きな価値を提供する、経営戦略上の重要なインフラです。
今回ご紹介したサービスも、スマートフォン一つで手軽に始められるものから、専用のVRヘッドセットを用いて没入感を極めるもの、さらにはAIによる詳細なデータ分析が可能なものまで、その特徴は多岐にわたります。
ぜひ本記事を参考に、貴社の課題解決に最適なパートナーとなるサービスを選定し、ビジネスの加速にお役立てください!


























