VRコンテンツの開発、制作に関して、
「他社の事例を見てVR活用を検討し始めたが、いくらかかるか全く見当もつかない」
「上司への報告のため、まずは概算費用を知りたい」
など、このような担当者の方も多いのではないでしょうか。
VR開発、コンテンツ制作の費用は「何を作るか」によって、20万円程度から1,000万円以上まで大きく変動します。
費用の幅が広い理由は、実写の360度動画か、フルCGのコンテンツか、また操作(インタラクティブ性)の有無によって、必要な技術や工数が全く異なるためです。
本記事では、VR開発の費用に関する全体像を掴んでいただくべく、以下の点を網羅的に紹介します。
- 種類別の具体的な費用相場
- 見積もりで見るべき費用の内訳
- 開発依頼の簡単なステップ
- コストを抑えるためのコツ
この記事を読めば、VR開発、VRコンテンツ制作に関わるコストに関して、基本情報を知ることができます。
VRの導入にご興味がある方は、ぜひご覧ください。

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VRコンテンツの開発費用はどう決まる?
VR開発の費用相場は、結論から言うと「20万円~1,000万円以上」と非常に幅広い価格帯となっています。
「なぜそんなに価格差があるのか」と疑問に思われるかもしれませんが、その理由は開発するVRコンテンツの種類によって、必要な技術や工数が全く異なるためです。
特に費用を大きく左右する要因として、以下の2つの軸が存在します。
- 表現方法:「①実写(360度撮影)」か「②フルCG」か
- 体験設計:「②操作(インタラクティブ性)」がどの程度必要か
例えば、実写の360度カメラで撮影し、ユーザーは「見るだけ」のシンプルな施設紹介VRであれば、費用は比較的安価に収まります。
一方で、現実には存在しない空間をフルCGでゼロから構築し、さらにユーザーがコントローラーを使ってモノを掴んだり、特定の操作を行ったりする研修用シミュレーターを開発する場合、高度なプログラミングとデザイン工数が必要となり、費用は高額になります。
このように、VR開発の費用は「何を実現したいか」によって変動するため、まずは自社が作りたいVRコンテンツがどの種類に該当するのかを把握しましょう。
【種類別】VR開発の費用相場と特徴
VR開発は、その目的や体験設計によって大きく3つの種類に分類されます。
ここでは、それぞれの特徴と費用相場について具体的に解説します。
【20万円~】実写360度動画(見るだけのVR)
これは、360度カメラで現実の風景や場所を撮影し、編集した「実写ベース」のVRコンテンツです。
相場は20万円程度から制作可能なものが多く、最も安価に導入できるパターンです。
ユーザーはVRゴーグルやスマートフォンの画面を通して、その場にいるかのような没入感を味わえますが、基本的な体験は「見るだけ」となります。
用途としては、不動産物件の内見、観光地のプロモーション、オフィスの紹介動画、工場見学などが代表的です。
費用は撮影場所の数、撮影日数、使用するカメラの機材レベル、編集(テロップやナレーションの追加)の複雑さによって変動します。
まずは低コストでVRの導入効果を試してみたい場合に適した選択肢です。
【100万円~】インタラクティブVR(簡単な操作ができるVR)
これは、実写やCGの空間内で、ユーザーが「簡単な操作」を行えるVRコンテンツです。
費用相場は100万円程度からが目安となります。
例えば、空間内の特定のポイントをクリック(注視)すると説明テキストが表示されたり、別々の360度動画(シーン)間をワープ移動したりする機能がこれに該当します。
「見るだけ」の動画に比べ、ユーザーの能動的なアクションが加わるため、研修教材や製品のデモンストレーションなど、より深い理解を促したい場合に有効です。
この費用帯から、実写映像にCGを合成したり、簡単なシステム開発(操作機能の実装)が必要になったりするため、実写360度動画よりもコストが上がります。
【300万円~】VRシミュレーター・VRアプリ開発(複雑なシステム開発)
これは、フルCGで構築された仮想空間内で、ユーザーが「複雑な操作や訓練」を行うための専用VRコンテンツやアプリを指します。
費用相場は300万円からとなり、機能の複雑さによっては1,000万円を超えるケースも珍しくありません。
現実では危険が伴う作業(建設現場の安全教育、医療手技のトレーニング)のシミュレーションや、複数人(マルチプレイ)で同時に参加するVRイベント、VRゲームなどが該当します。
ゼロから独自のシステムを開発し、インタラクティブ性も高度になるため、開発工数が最も多くかかります。
費用は、CGで作成する空間の広さやオブジェクト(モノ)の数、物理演算(モノのリアルな動き)の精度、実装する機能の複雑さによって大きく変動します。
VR開発費用は「何」が含まれる?
VR開発の費用がどのような項目で構成されているかを事前に把握しておくことは、開発会社からの見積もり内容を正しく理解し、予算の妥当性を判断する上で非常に重要です。
VR開発の費用は、開発会社によっても異なる場合がありますが、大きく分けて以下の4つの項目で構成されています。
企画・ディレクション費
これは、VR開発プロジェクト全体の「設計図」を作成し、進行を管理するための費用です。
VRを通じて「何を達成したいのか」という目的を明確にし、それを実現するための体験シナリオや、ユーザーの操作方法(UI/UX設計)を定義するために発生します。
具体的には、プロジェクトマネージャーやディレクターの人件費がこれに該当します。
この企画フェーズの質が、最終的なVRコンテンツの「面白さ」や「課題解決の度合い」を左右するため、コスト削減の対象にしづらい重要な費用です。
撮影・編集費(実写VRの場合)
これは、実写360度動画をベースにしたVRコンテンツを制作する場合に発生する費用です。
文字通り、360度カメラなどの専用機材を用いた現地での撮影と、撮影した映像データの編集作業にかかります。
費用は、撮影日数、撮影場所の数、使用するカメラのグレード(4K、8Kなどの解像度)、ドローン空撮の有無などによって変動します。
また、VR特有の編集作業として「ステッチ」と呼ばれる、複数のカメラで撮影した映像のつなぎ目を違和感なく処理する専門技術が必要となり、この作業の難易度もコストに影響します。
3DCG制作費(CG VRの場合)
これは、フルCGで仮想空間やオブジェクト(モノ)を制作する場合にかかる費用です。
現実には存在しない空間の構築や、現実では撮影が難しいシミュレーション環境(例:危険な作業現場の再現)を、UnityやUnreal Engineといったゲームエンジンや3DCGソフトウェアを使って構築するために発生します。
費用は、制作する空間の広さ、配置する3Dモデル(キャラクター、機械、建物など)の数とクオリティ(ポリゴン数やテクスチャの精細さ)によって大きく左右されます。
ゼロからオーダーメイドで精巧な3Dモデルを作成する場合、多くの工数が必要となり高額になりやすいです。
アプリ・システム開発費(機能・操作の実装)
これは、VR空間内でユーザーが「操作」できるようにするための、プログラミングやシステム構築にかかる費用です。
前のセクションで触れた「インタラクティブVR」や「VRシミュレーター」の開発で発生する、エンジニアやプログラマーの人件費が主となります。
例えば、「特定の場所をクリックすると解説が表示される」「コントローラーでモノを掴んで移動させる」「操作手順が正しいか判定する」といった機能を実装するために必要です。
実装したい機能が複雑で多機能になるほど、開発工数も比例して増加します。
【初心者向け】VR開発の依頼から納品までの簡単4ステップ
VR開発を初めて依頼する際、「どのようにプロジェクトが進むのか分からない」という不安を抱える担当者の方も多いでしょう。
ここでは、一般的なVR開発プロジェクトがどのような流れで進むのか、依頼から納品までの主要な4ステップに分けて簡潔に解説します。
STEP1:企画・要件定義(「何をしたいか」を固める)
これは、VR開発プロジェクトの「土台」を作る最も重要なフェーズです。 発注者側(自社)が「VRで何を達成したいのか」「どのような体験を実現したいのか」を、開発会社とすり合わせます。
例えば、「工場の安全意識を向上させたい」「新卒採用で会社の魅力を伝えたい」といった目的を明確にし、それを達成するために必要な機能やシナリオ(体験の流れ)を具体的に定義していきます。
この要件定義が曖昧だと、後の手戻り(修正)や追加費用の原因となるため、開発会社と密にコミュニケーションを取ることが求められます。
STEP2:制作(撮影・CG)
要件定義で決まった仕様に基づき、VRコンテンツの「素材」を制作するフェーズです。
実写ベースの場合は、360度カメラなどを用いて現地での撮影を行います。
フルCGベースの場合は、3DCGデザイナーが仮想空間やキャラクター、オブジェクトなどの3Dモデルを設計・制作します。
このステップで、VR空間の「見た目」の部分が完成します。
STEP3:開発・実装
制作フェーズで作られた「素材(実写映像や3Dモデル)」を、システムに組み込み、「操作」できるようにプログラミングしていくフェーズです。
UnityやUnreal Engineといったゲームエンジンが使われることが多く、エンジニアが実際の開発作業を担当します。
例えば、「特定の場所をクリックしたら動画が再生される」「コントローラーでモノを掴めるようにする」といった、STEP1の要件定義で定められた機能を実装していきます。
STEP4:テスト・納品
開発が完了したら、実際にVRゴーグルなどのデバイスを使用して、意図した通りに動作するかをテスト(デバッグ)します。
「操作はスムーズか」「シナリオ通りに進行するか」「バグ(不具合)はないか」などを発注者側も一緒に確認します。
このテストと修正作業を繰り返し、すべての動作に問題がないことが確認されたら、完成品として納品されます。
納品形態は、アプリストアでの公開、専用PCへのインストール、Webブラウザでの閲覧など、開発したVRコンテンツの種類によって異なります。
VR開発の費用を抑える3つのコツ
VR開発には多額の費用がかかるケースもありますが、企画の段階から工夫することで、コストを現実的な範囲に抑えることが可能です。
ここでは、VR開発の費用を抑えるための具体的な3つのコツを紹介します。
1. まずは「スモールスタート」で機能を絞る
VR開発の費用を抑える最も効果的な方法は、最初から多機能・高画質を目指さず、「スモールスタート」で始めることです。
企画段階で「あれもこれも実現したい」と機能を詰め込みすぎると、システム開発費やCG制作費が膨れ上がります。
まずは「VR導入の目的」を達成するために「最低限必要な機能(MVP:Minimum Viable Product)」は何かを見極め、開発する範囲を絞り込むことが重要です。
例えば、研修用VRであれば、一度に全ての研修項目を実装するのではなく、最も重要な一つの項目から着手し、効果検証を行ってから次の開発に進むといった進め方が良いでしょう。
2. SaaS型のVRプラットフォームを利用する
VRコンテンツをゼロから開発する「フルスクラッチ開発」は、自由度が高い反面、莫大な開発費用と期間が必要です。
このコストを大幅に削減する方法として、既存の「SaaS型VRプラットフォーム」を活用する選択肢があります。
SaaS(Software as a Service)とは、クラウド上で提供されるソフトウェアサービスのことで、VR開発においては、既に基本的な機能(アバター機能、空間構築、コミュニケーション機能など)がパッケージ化されています。
これらの既存機能を利用することで、ゼロから開発する工数を削減し、初期費用を抑えつつ短期間でVR導入を実現できる可能性があります。
3. 補助金・助成金を活用する
VRやメタバースの活用は、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進や生産性向上に寄与するものとして、国や地方自治体が提供する補助金・助成金の対象となる場合があります。
代表的なものに「事業再構築補助金」や「IT導入補助金」などがあり、開発費用の数分の一が補助されるケースも少なくありません。
これらの補助金は申請手続きが複雑な場合もありますが、開発会社側で申請のノウハウを持っており、サポートを行っているケースもあります。
自社のVR導入が対象になるか、まずは開発会社に相談してみることをお勧めします。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
ここまで、VR開発の費用相場や種類、費用の内訳、そしてコストを抑えるコツについて網羅的に解説してきました。
VR開発の全体像や、価格が変動する理由についてはご理解いただけたかと思います。
VR開発には、制作したいコンテンツによって20万~1000万ほどの幅で開発費が変動し、「企画・ディレクション費」「編集費」「3DCG製作費」「アプリ・システム開発費」が主に含まれます。
弊社では、VRを始めとするXRコンテンツの受託開発を行っております。
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